大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1574号・昭55年(ネ)1665号 判決

(一) 被控訴人らは、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは昭和五〇年二月七日の常務会において国民ゴルフ場建設計画及びその会員募集を承認し、その遂行を控訴人新原に一任したと主張し、これが不法行為に当たると主張しているが、前記認定のように、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは国民ゴルフ場建設計画に反対の意向を示していたものであり、国民ゴルフ場建設計画の遂行を控訴人新原に一任したことはなく、ましてや会員募集の着手を承認したことはなかったものと認められるので、被控訴人らの右主張を採用することはできない。

(二) 次に、被控訴人らは、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは控訴人新原の独断専行を許さないように同人を監視し、監督すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠ったものであり、このことが被控訴人らに対する不法行為に当たると主張するので、この点について判断するに、前記認定のように、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは控訴人新原に対し、国民ゴルフ場建設計画について反対の意見を述べ自重を求めていたものであり、控訴人新原自身も国民ゴルフ場建設計画の準備を推進していたとはいうものの、会員募集を実行するまでには至っておらず、会員募集に着手する場合には改めて常務会及び理事会の承認を得なければならないものと考えていたことが認められる。そして、控訴人新原が控訴人協会の内部において国民ゴルフ場建設計画を推進しても、そのこと自体は被控訴人らと関わりのないことであり、控訴人新原が対外的に会員募集の実行を始めたときに初めて入会申込者に対する不法行為が問題になるものであることにかんがみると、前記認定の事実関係の下では、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らに被控訴人らに対する不法行為となるような義務違反があったということはできない。

したがって、被控訴人らの右主張を採用することはできない。

2 民法七一五条二項

被控訴人らは、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは控訴人協会に代わって事業を監督していたものであるから、白澤及び北村らの不法行為について民法七一五条二項による責任があると主張するので、この点について判断するに、亡東龍太郎が控訴人協会の理事長で、控訴人満園、同森岡が控訴人協会の理事であったことは当事者間に争いがなく、第四条の書込部分を除き≪証拠≫によれば、理事長は控訴人協会を代表し、その業務を統括し、理事は理事会の議決に基づいて会務を執行するものであることが認められ、これに反する証拠はない。

ところで、民法七一五条二項にいう「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」とは、客観的に見て、使用者に代わり現実に事業を監督する地位にある者をいい、法人の代表者が、単に法人の代表機関として一般的業務執行権限を有するということから、直ちに、同条項を適用してその個人責任を問うことはできないものであるところ、≪証拠≫によれば、亡東龍太郎は日本赤十字社社長として専ら赤十字社本社に勤務し、控訴人満園は弁護士、同森岡は全国信用金庫連合会専務理事などの本職を有していたものであり、いずれも控訴人協会の事務所に顔を出すことはなく、控訴人協会の業務については月に一回主に赤十字社社長室に集まって開催されていた常務会において控訴人新原からの報告、相談を受ける程度であり、控訴人協会理事としての報酬も得ていなかったことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

右認定事実によれば、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らは、客観的に見て、控訴人協会に代わって現実に控訴人協会の事業を監督していた者と認めることはできず、他に本件全証拠によるも、右三名が控訴人協会の事業を現実に監督していたと認めるに足りる証拠はない。

したがって、被控訴人らの前記主張は、その余の点について判断するまでもなく採用することができない。

3 民法四四条二項

被控訴人らは、仮に国民ゴルフ場建設計画が控訴人協会の目的の範囲内でないとすると、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らには民法四四条二項の責任があると主張するが、前記認定事実によれば、亡東龍太郎、控訴人満園、同森岡らが国民ゴルフ場建設計画に賛成の議決をし、あるいはこれを履行したと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はないので、被控訴人らの右主張は、その余の点について判断するまでもなく採用することができない。

(森 高橋 小林)

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